重度歯周病では、歯を支えている骨は三分の二以上が溶けて、歯周ポケットは非常に深くなり、歯がぐらぐらと動きだし物が食べにくくなります。
歯根に大量の歯石が付き、歯肉は下がり歯根が見えてきます。また歯肉は赤く腫れていて、歯と歯肉の境目からは膿がでてきます。
朝目覚めると口の中がねばねばし、血の味がしてくることもあります。口臭も強くなります。
重度歯周病まで進行すると少しの力が大きな影響を及ぼすようになり、その度合いによって影響は加速していきます。
しっかりと突き刺さった釘はびくともしませんが、刺さり方が浅いと簡単に抜けてしまいます。またそういった釘は横からの力にとても弱くなります。
歯も同じです。
具体的には噛み締めや歯軋り、不正な歯並びのための力の集中などがあげられます。弱い歯は普通の力でも耐えられなくなります。
清掃状態がよくこれらの力から解放されると、失った骨は自然に再生する場合があります。
また歯の位置関係が悪く血液供給の不足により免疫力が局所的に落ちて病状が進行する場合もあります。
この場合は矯正治療等で良い位置関係を作れば自然に良くなることがあります。
これらの進行を助長する因子をのぞくことができれば再生療法もより成功率が高くなります。
再生療法には骨の再生促進剤を使ったものや再生膜を使ったもの、自分の骨や他人の骨、人工骨の移植、これらを合わせた方法などがあります。
また再生療法に伴い歯を補強する必要があります。その多くは複数の歯をかぶせでつなぐ方法となります。
再生療法は原因の除去ができていないと直ぐに病状は再発します。過剰な力を除去できていなかったり、清掃状態が悪いと成功しません。
逆に原因の除去ができていれば成功率はぐんと上がります。
来院される患者さんは、ほとんどの方が既に他の歯科医院にかかっている方で、定期的に通っているのに、どんどん歯周病が進行して悪くなっていく不安を抱えています。
詳しく状況を伺いながら、正しい歯周病の知識をお伝えしています。
・歯周ポケット検査…ものさし(プローブ)で歯と歯肉の間にある溝の深さを測ります。
・歯肉の出血検査…ものさしの出し入れ時の出血の有無をみます。
・歯の動揺度検査…前後、左右、上下に動かした時の歯の動きの程度を測ります。
また、レントゲン撮影を行い、歯を支える骨の状況を正確に把握します。
検査結果を踏まえて、まずは治療計画の概略を立案し、患者さんにご説明します。
ブラッシング指導、歯石の除去から開始します。お口のプラークコントロールを適正に行うことが全ての基本となります。
歯石を除去することで、歯肉の状態が正確に見えてきます。
あらためて6点法というプロービング検査を行い、1本1本の歯の状態を調べ、下のようなチャート(プロービングチャート)を作成します。
徹底した歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)によって、歯周病の状態は大幅に改善します。しかし、重度まで進行してしまった歯周病では、それだけでは十分ではありません。
歯の根にまで付着した歯石は目で見ることができませんので、麻酔をして歯ぐきを一時的に切開して目に見える状態にして歯石除去を行います。
歯周病の進行によって歯を支える骨等の組織が少なくなると歯がぐらぐらしてきます。歯がぐらぐらして来ると物を噛むのにも支障がでますし、プラークコントロールをするのも難しくなります。
揺れている歯をお互いにつなぐために被せ物をつなげて作りそれを歯にかぶせることで、歯を安定させるとともに、一ヶ所に力がかかるのを避けて均等にバランスよく噛めるように調整を行います。
垂直的骨欠損といって、歯を支える骨が部分的に縦方向に失われているケースでは、再生療法を行って失われた骨を再生することが可能です。